ある日走っていたら、エンジンの吹けが妙に軽くて「今日は調子がいいな」と思っていたのですが、
そのうち発進時に空転するようになり、症状がどんどん悪化してきました。
嫌な予感がして駆動系を開けてみたところ――
プーリーナットが緩んでガバガバ状態に!

なんと、プーリーナットが緩んでいて、ガタガタの状態になっていました。
プーリーフェイスの軸受けの歯も完全に削れてしまっています。

実はこの症状、「プーリーナットが緩む」というリコールが出ていたため、
対策済みのナットと新しいプーリーフェイスへ交換しました。
対策ナットの締め付けトルクは 52N・m です。
「これで一安心」と思ったのですが、すぐに再発……。
プーリーフェイスとボスが摩耗して空転再発

フェイスを外して確認すると、歯が削れているうえに、
プーリーボスと当たる部分が 約2mm ほど削れていました。
どうやら走行中、動力負荷がかかる度にプーリーフェイスとプーリーボスがわずかに摩擦して、それを繰り返していくうちにナットの張力が少しずつ抜けて最終的に空転→破損へと進行していたようです。
プーリーボスが固着して抜けない!

さらに問題だったのが、プーリーボスが完全に固着して抜けなくなっていたこと。
ラスペネ(潤滑剤) を散布しながら ギヤプーラー でようやく抜けました。

かなり固かったので、ランププレートが変形してしまいました。
こちらの部品もプーリーボスとの当たり面が2mm近く削れていました。
プーリーの奥の「カラー(スペーサー)」も摩耗していた

プーリーを外すと奥側にも擦り跡が。

おそらく一番奥に付いているカラーという部品がすり減って、プーリー全体が奥のほうへオフセットされて干渉してしまっているようです。

新品のカラーと比べてみると、やはり 2mm以上の摩耗。
💡 アイドリング時のみクランクケースから異音がする場合、
原因はこの「カラーの摩耗」である可能性があります。

カラーを交換する際は Oリングも同時交換 が必要です。

プーリーボスは減っていませんでしたが、一度固着しているので新品と交換します。
部品をすべて新品交換して復旧!

リコールはナットだけでなくワッシャーも対策済みの物へ交換が必要でした。

最終的に、以下の部品をすべて新品に交換。
- 対策済みプーリーナット&ワッシャー
- プーリー本体
- プーリーフェイス
- ウエイトローラー
- カラー(+Oリング)
- ランププレート
- スライドピース×3個
- プーリーボス
交換後はトラブルが完全に解消。
さらに、以前から気になっていた極低速時のギクシャク感もなくなり、スムーズな発進ができるようになりました。
まとめ:ナットの緩み対策と点検の大切さ
マジェスティSでは、プーリーナットのリコールが過去に出ており、
さらにプーリーボスの固着も“持病”と呼ばれるほど発生しやすいトラブルです。
こうした症状を再発させないためには、以下の4点を徹底することが重要です。
- 組み付け前に脱脂・清掃をしっかり行う
- シャフトとボスの内側にはグリスを塗らない
- 規定トルク(52N・m)で確実に締め付ける
- 削れや摩耗が見られたら早めに交換する
駆動系は見えない場所だからこそ、定期的な点検が大切。
私はこの経験以来、ナット・フェイス・カラー類はストックして常備するようにしています。